最終工程である着色は、作品の仕上がりを左右する重要な作業です。 色彩感というものは個人個人異なる感覚を持っており、単に黒色といっても数種類の着色が可能であると思います。 また、鋳肌仕上げの作品と磨き仕上げの作品、作品のポーズ、テクスチャ、タッチなどによっても同じ着色を施しても全く雰囲気の異なる物に仕上がってしまうのも、着色の面白いところであり、そこは色着師の経験とセンスが問われる作業であると言えると思います。故に、ロウ型鋳造のロウの修正をする作業と同様、作家が職人と共に作業を進めコミュニケーションをとるという形態を保つこと、または、着色見本帳からより近いイメージの色合いを選択していただき、それを基に作品を仕上ていくことで、より完成度の高い作品に仕上がることが出来ると考えております。 着色の基本工程として、鋳肌の洗浄、下色、上色、色止めなどがあり、技法として火を用い作品を温めながら薬品を付着させる技法、火を用いず溶液を作品に塗布し、常温や日光にあてるなどし、化学反応により腐蝕させる技法などがあります。設置場所によっても着色技法を選択する必要もあり、事前に設置環境を知ることで、的確な着色技法を選択できると考えております。 着色見本として板金に着色を施し、その着色例として作品を掲載しております。 一部ではありますが、少しでも仕上がりのご参考になれば幸いでございます。 |
着色見本帳
磨き仕上げ 磨き作業により反射率が高くなる為、透明感のある仕上がりになる
鋳肌仕上げ 一般的な仕上げで、原型のテクスチャやタッチによるコントラストが表れる
鋳肌仕上げ 腐食・自然な斑が表現できる
明 |
暗 |
鋳肌仕上げ 焼付け・多彩で複雑な着色が可能
濃 |
淡 |
グリーン |
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いぶし |
黒 |
茶 |
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艶あり |
艶なし |
生地仕上げ 着色はせず、地金の持つ色見や光沢を生かす仕上げ
鋳ばなし 蝋型鋳造作品の表面に現れる酸化皮膜を効果的に生かす着色